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ネムリヒメ.
第11章  体温計と風邪薬.



窓から吹き込んだ少し冷たい風で目が覚めた


タバコの匂いがする…


渚くんっ!?


「ぁ…」


ここは渚くんの部屋のはずなのにベッドの隣に彼の姿はなかった

ぽっかりとあいた隣のスペースのシーツが、窓から差し込む日の光を反射してキラキラと光っていて、手を伸ばせばまだ温かい

アタシはおもむろにベッドを抜けだす

ふかふかのラグに足をそっと降ろして立ち上がるとカラダがだいぶ楽になっていた


熱…下がったみたい

でも…


「っ…」

ぼんやりとだか、夜中に渚くんと聖くんの前で自分がめちゃくちゃに泣きわめいたコトが脳裏に甦える


…最悪……


アタシは唇を噛み締めながら拳をキュッと握りしめた


カラダをさらう朝の冷たい空気にのって、バルコニーから彼のタバコの匂いがする

アタシの足は自然にそこへと動いていた


朝日が眠りから醒めたばかりの目に眩しくて目を細める

しかし、目の前に映る彼の姿に思わず細めていた目を見開いた


「っ…!!」


朝日を受けて朱鷺色に輝く彼の横顔はそれはとても綺麗で、彼の漆黒の瞳が光を反射して濡れたように揺らめいている




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