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ネムリヒメ.
第19章  記憶の中の摩天楼.



ヤバい、別になんでもないのに

なんで変に意識してるの!?

カギ、カギ、カギ!!

カギをとるの!!


そしてなんとか、ジャケットの裏側に隠れた胸の内ポケットを見つけたアタシはそこに手を差し込む


けれど…


お…!?

お…お…!?

っ────!!


奥まで届かない!!


背の高い雅くんと、内ポケットが少し深いせいもあって、カードキーの存在は確認できるんだけどなかなかそこまで手が届かなかった


すると彼はそんなアタシに


「何やってんだよ、もっと寄れよ」


荷物を持った手で引き寄せる


「ちょ…わ!!」


カラダ同士がぶつかって、密着するアタシたち

香る彼の匂いに、聞こえる彼の鼓動

引き起こされる、まるで雅くんに抱き締められているかのような錯覚…

すぐ側で感じる彼の体温にさらに鼓動は早くなり、自分の体温も急上昇する


さらには…


「あんだろ、それ…」

「っ……!!」


あるけど…だけどっ

すぐ側で話す彼の声が必死に手を伸ばすアタシの耳元をくすぐるわけで…

余計に届かなくなる


「ねっ…ちょっと屈ん…で」

「…ったく」


早く、早くっ!!

早くこれで部屋を開けて、アタシをここから解放してぇぇえ!!


必死の思いから、思いきり背伸びをする


が…


忘れるな、アタシはヒールを履いているわけで…

なんども転びそうになったその足元は案の定、


「ひゃっ!!」


バランスを崩して倒れ込む先はもちろん雅くんの胸元で…


そしてちょうどその時に……


「おっかえりー♪」


って、部屋のドアが開いちゃうとか…ね






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