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ネムリヒメ.
第3章 無くしたモノ.
楓…きっと心配してる
「っアタシ、楓に会わなくちゃいけないのっ」
「ちーちゃん、話すから落ち着いて」
うろたえながら椅子から立ち上がるアタシの手を聖くんが掴んだ
聖くんの温かい手がアタシを現実に引き戻す
「大丈夫、ここにいれば楓くんに会えるから」
「えっ…!?」
手を掴んだまま話す聖くんの言葉に驚いてしばらく固まったあと、返す言葉がないままストンと椅子に腰を降ろす
「えっ…と!?」
彼の言っているコトがどういう意味なのかわからず、目をパチクリさせる
「ここはね、渚くんちのお屋敷なんだけど…んーと、建てたのが楓くんで…」
はっ!?
渚くんの屋敷とか、ここを楓が建てたとか
話のスケールが大きすぎて、聖くんの言っていることが理解できなかった
「とにかく楓くんも含めて オレたちここに住んでるの」
ふーん…そうなんだ
渚くんの屋敷って…改めて彼の正体を疑う
「………」
ん!?
ってことは…!?
アタシは三人の顔を順番にみる
「…お前もここに住むんだよ」
「ぇ…」
妖しく口元を歪める渚くん
「ちーちゃん、楓くんに一緒に暮らそうって呼ばれたんだよね!?」
「そう…だけど…」
にっこり嬉しそうな葵くん
「とりあえず、そゆこと♪」
最後に聖くんが固まるアタシの顔を覗きこんで笑った