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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「って、葵聞いてんのかよ」
「え、時計!?」
「バカか、んなこと言ってねぇし」
「あはっ、車でしょ!?」
「……………」
…ゲシッ!!
「ちょっ…君たちお行儀悪いなぁ」
「てめぇが話聞いてねぇからだろ」
「無視すんな」
両側から二本の足に同時に蹴られ、グラスからスコッチを溢しそうになる葵
「あー…みっくんの髪、そろそろやってあげてもいいけど明日はムリね、ちーちゃんと出掛けるから」
「「…死ね」」
…ブハッ!!
「ゲホッ……ゴメンな…さい」
更なる年下ふたりの容赦ない制裁に葵の目に涙が滲む
「ところでみっくん」
「あ!?」
「なにかちーちゃんとのこと思い出した?」
「チッ…」
雅の髪を手に掬って眺める葵に、雅は舌打ちをして眉をひそめる
「…なんもねぇし」
そんな雅に対して聖は怪訝に眉を寄せ、冷たい視線を向けた
「自分に飲めない酒盛ったのが誰かぐらいわかんないわけ?」
「知らねぇっつってんだろ」
「はぁ……遣えないなぁ」
「っせぇーな」
ソファーにもたれ掛かり、雅の反らされた首と開かれた胸元からは綺麗な肌がのぞいている
…そこに残る赤い引っ掻き傷
葵は綺麗な指を雅の引き締まった胸板に滑らせた
「エローいみっくん、あーあ…痕になってる」
「ッ…触んな、変態」
「"これ"つけたのちーちゃんなんでしょ!?」
「っ…覚えてねぇ…」
「ホントにぃ!?」
肌をスッと撫でる葵がからかうように笑いながら雅を覗きこむ