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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
「ぶッ…、マズッ!!」
シャンデリアの薄明かりの下、唾を吐き捨てる声が暗がりにこだまする
ここはカジノのVIPルーム
そこにいたオトコは近くにあったショットグラスにテキーラを並々と注いでは一気に呷ると、一度口に含んだモノを床へと吐き捨てる
そして間もなく、溢れんばかりの二杯目を一気に胃のなかへ流し込むと、その軌跡を辿るように粘膜の上を追いかけてくるアルコール特有の焼けるようなの熱さに顔を歪めた
それから彼は濡れた口元を手の甲で拭い、空いたグラスをテーブルに叩きつけるように置く
すると、それまで壁に押し付けていた女性の肢体がズルリと床へと崩れ落ちた
「はぁ…これで全員制覇…」
壁に背を預け、そう天井を仰ぐのは聖だった
全身で息を喘がせながら、緩められたネクタイを外すと、そのままゆっくりと壁づたいにしゃがみこむ
「あぁ…吐きそう。ホント葵くん、趣味悪すぎる。しばらくちーちゃんに触らせてあげない」
弱々しい声をあげ、少し辛そうな聖
聖は一度大きな溜め息をつくと、隣で意識を手放した女性のドレスの胸元に手を忍ばせた
「あーもー、取れないし…」
さすれば、背中に回した手が躊躇なくファスナーを下へと滑らせる
そして、
「あっ♪あったあった、回収完了♪
やっぱり持ってるよねー。こんなところに隠して葵くんとナニしようとしてたんだか知らないけど、じゃなかったらオレがここに来るわけがないし…」