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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
っていうか、無駄に顔が良すぎるケンカ上等の金髪ヤンキーに金と絶対的権力をもて余す某国のマフィア
それに加え、天使の顔して腹黒ネットワークを牛耳る小悪魔野郎に、世界を自分中心に回してる生意気なクソガキ大魔王がいて、おまけに生ける屍と化したトマト漬けのド変態とか…
おいおいおいおい、
若干過大表現している部分もあるが、よくもまあこんなにも個性豊かな面子が揃ったものだ
それと比べれば、口の悪い徹底したオンナ嫌いなどという鉄仮面で済む雅はどれだけ安全牌で可愛いものだろうか
「…千隼は任せたぞ」
「じゃあねぇ♪」
「ん…」
ただならぬ風采で部屋から出かけていくふたりの背中を見送りながら、我ながらと雅は顔を引きつらせる
ちなみに、彼らの行き先と郁の処遇はいっさい任せて考えないことを勧める
間違えても明日の朝刊の1面を飾るなんてことは…
「…………御愁傷様だ、クソ郁」
そんな口の悪い独り言はさておき、100%ないとは言い切れないが、まぁ…これも考えないでおこう
二人が郁を連れて出ていって、再び夜の静寂が部屋のなかへ訪れた
そこでやっと気を抜くようにそっと息を吐き出すと、初めて肌に張り付いた冷たいシャツや濡れた靴などの不快な感覚を雅は覚える
とっくにセットの崩れた髪も冷たいし、カラダじゅうから大嫌いなトマトの匂いもして、背中に悪寒が走る
あれだけ飲まされた鎮痛剤だって、今は効いているのか効いていないのかさえ疑問だ