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ネムリヒメ.
第27章 ***








「…思い出したって、ちーちゃん…」

「………うん」


アタシの突然の告白に葵くんの目が大きく見開かれて、動揺の色を隠せないその瞳は大きく揺らいでいた




"思い出したの、アタシ…

葵くんたちと初めて会った、あの日のこと…"



「…ゴメンなさい、だけど全部じゃないの。でも、…」


全部じゃないけど…


「…アタシ、郁さんと会わなきゃいけないの」

「っ……!!」


もう一度告げたその言葉に葵くんの瞳が差し込んだ戸惑いの色で濁ったのはすぐにわかった


…当たり前だ。

目を覚ました途端、突然なにを言い出すのかと思えば…

アタシはこんな…

彼らからしたらとんでもなく無茶苦茶なことを言っているのだ


だけど…


「ねぇ、っ…郁さんは?郁さんに会わせてほしいのっ」

「…っ、ちーちゃん!!待って、少し落ち着いて!!起きてすぐそんな急に動いたら…ッ!!」


慌ててベッドから降りようしてフラついたアタシを葵くんの腕がしっかりと捕まえる


「ハァ…お願いだから、少し落ち着いて…」

「っ………」

「…ケガするでしょ」


なだめるように少し強引に抱きしめられて、いつになく低い声と押し当てられた葵くんの胸から少し騒ぐ彼の鼓動を聞かされる


そして…


「郁くんなら今…」


葵くんの髪から微かに香った潮の香りに…


「…ナギと聖といるから」

「………!!」


覚えるのはさっきとはまるで別な意味を持った胸騒ぎで…




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