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わたしの肢体
第2章 秋芳 善(15)
善は黒板の前にたむろする仲間の視線が廊下の向こうから、彼らの1人が手にするスマートフォンの画面に向いたのを確認してから、隣の席の部活仲間に返答を述べた。
「こうきの女?」
脳内ではやはり、百の屈託ないはちきれそうな笑顔と、その口から度々発せられる女子生徒の名前が再生されていた。
「で、百の友達・・・。って、もしかして、一花ってなまえだったりする?」
「ごめいと~う!」
康希、と呼ばれた丸坊主の部活仲間は、ニヤけた笑顔を日に焼けた顔全体に浮かべている。
善は康希と同じくらい日に焼けた顔を嫌悪に歪ませ、肩をすくめて見せた。
「マジ?こないだこくってきて、すぐやらせてくれたっていってた、あのわるそーな子?」
「ごめいと~う!」
康希は喉をケラケラ鳴らして笑った。
善は康希の、悪気のない残酷さを目の当たりにして暗い気持ちになった。
「まじかよ」
だから机に突っ伏し、足を投げ出して目を閉じた。
康希は突然そのような行動を取った善に疑問を抱いたが、すぐにスマホにメール着信があったため深く気にすることはなかった。
ふて寝を決め込む善の耳の中に入ってくる教室のざわつきの中に、百の興奮気味の声が聴こえた気がした。
――――隣の席の子が真剣に優しくてびびった!
すっげぇ面白い子でさ、いろいろ話したらさ、その子のお母さん、高校の先生っていうんだ。
お父さんと一緒でびびった!
そんで仲良くなった!
しかもその子友達多くて、その子繋がりでいろんな子といっぱい喋った!
すごくね!?
おれの中学生活順風満帆になりそう!
兄ちゃん、おれ、中学はなんとか楽しく行けそうだわ!
「こうきの女?」
脳内ではやはり、百の屈託ないはちきれそうな笑顔と、その口から度々発せられる女子生徒の名前が再生されていた。
「で、百の友達・・・。って、もしかして、一花ってなまえだったりする?」
「ごめいと~う!」
康希、と呼ばれた丸坊主の部活仲間は、ニヤけた笑顔を日に焼けた顔全体に浮かべている。
善は康希と同じくらい日に焼けた顔を嫌悪に歪ませ、肩をすくめて見せた。
「マジ?こないだこくってきて、すぐやらせてくれたっていってた、あのわるそーな子?」
「ごめいと~う!」
康希は喉をケラケラ鳴らして笑った。
善は康希の、悪気のない残酷さを目の当たりにして暗い気持ちになった。
「まじかよ」
だから机に突っ伏し、足を投げ出して目を閉じた。
康希は突然そのような行動を取った善に疑問を抱いたが、すぐにスマホにメール着信があったため深く気にすることはなかった。
ふて寝を決め込む善の耳の中に入ってくる教室のざわつきの中に、百の興奮気味の声が聴こえた気がした。
――――隣の席の子が真剣に優しくてびびった!
すっげぇ面白い子でさ、いろいろ話したらさ、その子のお母さん、高校の先生っていうんだ。
お父さんと一緒でびびった!
そんで仲良くなった!
しかもその子友達多くて、その子繋がりでいろんな子といっぱい喋った!
すごくね!?
おれの中学生活順風満帆になりそう!
兄ちゃん、おれ、中学はなんとか楽しく行けそうだわ!

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