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わたしの肢体
第1章 新本一花(13)
形容し難い歪んだ叫び声が響く。
思わず耳を塞ぎたくなる軋んだ声。
悲鳴が台所の隅に存在する闇の中に静かに消え去ったとき、サナエの乳首に突き刺さった針はまだゆらゆらとしつこく大きく揺れていて、傷口から垂れる鮮血が煎餅布団のシーツを汚していた。
「おれの命令がきけない、なんて・・・そんなことは、言わないよなぁ?」
男の唇がサナエの鼻先に触れている。
ぼさぼさの髪の隙間から、サナエの瞳を凝視する男の横顔がちらりと見えた。
頬に目立つ赤いニキビと共に。
「なぁ?どうなんだよ・・・?」
背骨の目立つ雑なつくりの薄い背中から狂気が湯気のように立ち上っていた。
鬼気迫る男の言葉にサナエがはい、と答えたのか、答えなかったのか、襖戸の向こう側である台所までは聴こえなかった。
けれどもサナエは意を決したのか、眉間に皺を寄せ目をきつく閉じたうえで、そろりそろり、と乾いた唇の隙間から薄い舌を声の主に差し出すために覗かせた。
「へへ・・・そう、そうだよ」
唇と同じくらい乾いた舌先を声の主は指でつまみ、引っ張り出せる限界まで強引に引き出すと、逆の指に挟んでいた針の先端を突き立てた。
思わず耳を塞ぎたくなる軋んだ声。
悲鳴が台所の隅に存在する闇の中に静かに消え去ったとき、サナエの乳首に突き刺さった針はまだゆらゆらとしつこく大きく揺れていて、傷口から垂れる鮮血が煎餅布団のシーツを汚していた。
「おれの命令がきけない、なんて・・・そんなことは、言わないよなぁ?」
男の唇がサナエの鼻先に触れている。
ぼさぼさの髪の隙間から、サナエの瞳を凝視する男の横顔がちらりと見えた。
頬に目立つ赤いニキビと共に。
「なぁ?どうなんだよ・・・?」
背骨の目立つ雑なつくりの薄い背中から狂気が湯気のように立ち上っていた。
鬼気迫る男の言葉にサナエがはい、と答えたのか、答えなかったのか、襖戸の向こう側である台所までは聴こえなかった。
けれどもサナエは意を決したのか、眉間に皺を寄せ目をきつく閉じたうえで、そろりそろり、と乾いた唇の隙間から薄い舌を声の主に差し出すために覗かせた。
「へへ・・・そう、そうだよ」
唇と同じくらい乾いた舌先を声の主は指でつまみ、引っ張り出せる限界まで強引に引き出すと、逆の指に挟んでいた針の先端を突き立てた。

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