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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「―」
紗英子は押し黙った。確かに、有喜菜の言葉は理に適っている。紗英子は有喜菜から元気な赤ん坊を受け取れば良いのであって、そこから先―有喜菜のプライベートまでに立ち入る権利を得たわけではないのだ。
でも、元気な赤ん坊が生まれなかったら?
紗英子は子どもを持つという目的意識が大きかった分、様々な育児雑誌を読みあさり、知識には精通していた。まあ、実践を伴わない知識と言われれば、そこまでのものだけれども。
そんな紗英子から見たら、有喜菜の今の状態は極めて危なかしいものに見えてならなかった。妊婦がハイヒールを履き、階段を二段飛ばしで上り下りし、健康のことも考えずに食べ放題に食べる。仮に紗英子が有喜菜の立場なら、妊娠が判ったその日から、妊婦にとっては理想的な生活を心がけるだろう。
軽くて歩きやすい運動靴を履き、階段は手すりを持ち、静かにゆっくりと行き来する。もちろん走らないし、食事は野菜を中心にローカロリーのヘルシーなものを取る。むしろ、有喜菜は妊娠したからといって、生活を何ら改める気もなさそうだ。そのことが紗英子には信じがたく、また自爆行為にも思えた。
紗英子は押し黙った。確かに、有喜菜の言葉は理に適っている。紗英子は有喜菜から元気な赤ん坊を受け取れば良いのであって、そこから先―有喜菜のプライベートまでに立ち入る権利を得たわけではないのだ。
でも、元気な赤ん坊が生まれなかったら?
紗英子は子どもを持つという目的意識が大きかった分、様々な育児雑誌を読みあさり、知識には精通していた。まあ、実践を伴わない知識と言われれば、そこまでのものだけれども。
そんな紗英子から見たら、有喜菜の今の状態は極めて危なかしいものに見えてならなかった。妊婦がハイヒールを履き、階段を二段飛ばしで上り下りし、健康のことも考えずに食べ放題に食べる。仮に紗英子が有喜菜の立場なら、妊娠が判ったその日から、妊婦にとっては理想的な生活を心がけるだろう。
軽くて歩きやすい運動靴を履き、階段は手すりを持ち、静かにゆっくりと行き来する。もちろん走らないし、食事は野菜を中心にローカロリーのヘルシーなものを取る。むしろ、有喜菜は妊娠したからといって、生活を何ら改める気もなさそうだ。そのことが紗英子には信じがたく、また自爆行為にも思えた。