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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
とはいえ、自分たちはもう二度と昔のように屈託ない間柄に戻ることはないだろう。そのことも直輝には判りすぎるくらい判っていた。
もちろん、妻の紗英子とは単に夫婦として過ごしてきたというだけではない。互いにまだ子どもといえる十三歳のときから恋人として付き合い、結婚した。言わば、長年の歳月を共にした同士という感覚もあり、幾ら溝ができたからといって、憎んだり嫌ったりしているわけではない。
が、夫婦として―いや、紗英子をもう一人の女として愛することは自分にはできないと、直輝は思っている。紗英子は昨年末、子宮全摘という大変な手術を受けた。男の自分には完全には理解し得ないことではあるけれども、女がその象徴ともいえる子宮を失うというのがどれだけ辛いかくらいは察せられた。
その大変な手術を乗り越えた妻を、直輝は愛おしいと思っていた。結婚当初から子どもを欲しがり、様々な不妊治療を試みてきても、二人はついに子どもに恵まれず、最後は紗英子が子宮を失うという哀しい結果に終わった。
もちろん、妻の紗英子とは単に夫婦として過ごしてきたというだけではない。互いにまだ子どもといえる十三歳のときから恋人として付き合い、結婚した。言わば、長年の歳月を共にした同士という感覚もあり、幾ら溝ができたからといって、憎んだり嫌ったりしているわけではない。
が、夫婦として―いや、紗英子をもう一人の女として愛することは自分にはできないと、直輝は思っている。紗英子は昨年末、子宮全摘という大変な手術を受けた。男の自分には完全には理解し得ないことではあるけれども、女がその象徴ともいえる子宮を失うというのがどれだけ辛いかくらいは察せられた。
その大変な手術を乗り越えた妻を、直輝は愛おしいと思っていた。結婚当初から子どもを欲しがり、様々な不妊治療を試みてきても、二人はついに子どもに恵まれず、最後は紗英子が子宮を失うという哀しい結果に終わった。