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Memory of Night
第7章 夏祭
「……綺麗って。ソレ、男に対して使う言葉じゃねーだろが」
「今さらそこ突っ込むの? いいじゃん。褒めてんだから。――俺、何か飲み物持ってくるね。麦茶でいい?」
宵が頷く。
晃は部屋の隅に重ねられた座布団を一枚ゆかたの横に敷き、宵を促した。
「座ってくつろいでて」
そう言うなり、晃は部屋から出ていった。
宵は和室をざっと見渡しながら座布団の上に腰を下ろした。
部屋の壁には水墨画が描かれた掛け軸あり、高級そうな花瓶には花が生けられている。
この家は洋風チックで白が基調なので、この和室は少し異質な感じがした。
「『綺麗』……ねぇ」
青いゆかたを眺めながら、つぶやいてみる。
晃に使われた形容。
確かにその言葉は、クラスメイトにも何度も言われたことがあった。
自分の容姿に対してこだわりがあるわけでもなかったから、気になど止めずに受け流していたけれど。
晃は褒めてんだから、なんて言っているけれどそうは思えない。
人の顔を人形に喩えたり、ガラスケースに入れてどうのこうのとか、いじめてやりたくなる顔だとか、どう考えたってバカにされてるようにしか思えなかった。