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Memory of Night
第11章 罠

「それはあんたがおとなしくしてればの話。あんまり暴れると体中に毒がまわって、死ぬぜ?」

 弾むような、粘り着くような独特のニュアンスで小柄な男は言う。
 宵の頬を舌先でペロリと舐め、耳たぶに唇を押し付けながら、脅すように声色を低くした。

「あんたは俺らに遊ばれてればいいんだよ。そうすりゃ腕一本の犠牲で済むんだ。どーせ慣れてんだろ? こーいうの」

 言いながら胸の突起を摘まれ、唇を塞がれる。
 強く捻られ、長い爪の先で何度も引っかかれた。

「ん……っ」

 痛みに声を洩らすと、小柄な男は宵宵が感じていると思ったらしい。さらに執拗に胸をまさぐり、激しいキスを仕掛けてくる。
 口の奥まで舌をねじ込み、がむしゃらに口腔を蹂躙する。
 テクニックも何もない、ただ強引なだけの行為だった。
 それを無抵抗に受け入れながら、宵は頭の中で男の言葉を反芻した。
 ――どーせ慣れてんだろ? こーいうの。
 確かに、と思う。セックスなんて、今まで散々やってきた。それはもう、両手を使っても数えきれないほどたくさんの生徒と体を重ねた。
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