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Memory of Night
第14章 聖夜

「わっ」

 晃の胸に倒れ込み、腕の中に閉じ込められるような体勢になってしまい宵が真っ赤になって顔を上げる。

「続けて」
「は、離……ッ」
「ダメ。このまま聞きたい」

 酷く密着した体勢だった。晃の体温を服越しに感じる。
 晃は右腕を、宵の背にまわした。 
 宵は最初抵抗を試みるけれどできなかった。まだ完治していない腕が、包帯にくるまれて胸の前にあったから。
 淡い光を背景に、茶色い瞳が自分を見下ろしている。その眼差しには甘さがあった。
 心臓が、早鐘を打ち始める。
 背を抑えられているせいで、ごく間近に晃の顔があるのだ。息がかかりそうなくらい間近に。
 なぜだか酷く緊張する。
 それでも心を鎮めながら、晃の目をできる限り見据えて言いたかった言葉を続ける。

「……ごめん。腕のこととか、病院でひでーことたくさん言っちまったこととかも」
「気にしてないよ」
「あと……ッ」

 そこでまた、宵はもどかしげに口をつぐむ。
 つぶやくような声量で口にしたのは感謝の言葉だった。

「助けてくれて……ありがとう」
「どういたしまして」
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