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Memory of Night
第5章 玩具

 晃は立ち上がり、膝をついたままの宵の体をひょいっと抱き上げた。
 世に言うお姫様だっこだ。
 その行動には、宵だけでなく周りの生徒達も驚いてしまう。

「宵を保健室に連れて行く。誰か、先生にこのこと伝えておいてくれる?」

 優等生の顔で言う。

「下ろせよ……っ!」

 女子生徒が頷いたのを確認し、歩を進め始める晃に宵が怒鳴る。
 晃は無言で片手をポケットに入れた。
 瞬間、振動がさらに強くなった。
 指を入れられ、内壁をかきまわされているような刺激に、宵が晃の服を力いっぱい掴む。
 歯をくいしばり、顔を腕の中に押し込めるようにして、なんとか声や悶えそうになる体を抑えた。
 感じすぎて、身体中が痺れていきそうだった。
 晃が体育館を出る。
 だがその足は保健室ではなく、長期休業中、人の出入りが滅多にない北校舎の方に向かっていた。
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