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Memory of Night
第5章 玩具
開いたカーテンの隙間から現れたのは晃だった。
晃は起きている宵を見つけると、一瞬動きを止めた。
また気絶したことや自分の反応をからかわれるのかと思ったが、目の前にいる晃の様子はなんとなくいつもと違っていた。
意地の悪い顔ではない。温厚そうな優等生の顔でもない。もっと真剣な、何かを思いつめているような顔で宵を見つめていた。
外が光り、雷が鳴る。
ふと我に返ったように、晃が持っていた缶ジュースを差し出してきた。
「コレ、先生から。君にって」
それは、講習会の準備の後に配られるはずだったスポーツ飲料だった。
「……いい。俺、なんも手伝ってねーし」
「準備はとっくに終わったよ。君は体調不良ってことになってるし、素直に貰っとけば?」
「いいって言ってんじゃん。晃が飲めばいいだろ?」
口調を少し強めて言う。晃は食い下がってきた。
「喉、カラカラだろ?」
確かに、朝からほとんど何も飲んでいないので喉は渇いていたが、晃が差し出す物を素直に飲む気にはなれない。
どうしても缶を受け取ろうとしない宵に、晃は諦めて強制的な方法をとった。