この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night
第6章 再会

弘行からの詮索をまぬがれほっとしながらも、宵はその足で志穂の病室へ向かった。渡したいものがあったからだ。
軽いノックと共にドアを開ける。
志穂はちょうど昼食を終えたところのようだった。
突然の訪問者に、志穂は一瞬驚いたように目を見開き、宵だとわかると途端にパァッと顔を明るくした。
「よ……!」
また大声をあげようとする志穂を遮るように、宵が持っていたものを差し出す。それはコンビニの袋だった。
志穂は目をぱちくりさせた。
「なぁに?」
「プリン」
袋の中を覗くと、そこに入っていたのは生クリームと苺のクリーム、さらにその上に生の苺がのったプリンだった。
「うわーおいしそう! わざわざ買ってきてくれたの?」
「うん。通り道だったし。前食いたいって言ってたから」
「ありがとう」
志穂は、嬉しそうににっこりと微笑み、それから何かを思い出したようにプリンを見た。
「……カロリー高いの?」
前に宵が『カロリー一番高いヤツ』と言ったのを覚えていたらしく、ちょっと不安げに唇を尖らす。
その子供じみた表情に、宵は呆れたような笑みを浮かべた。

