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Memory of Night
第6章 再会
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「いーよ。別に予定ねーし、好きなだけ付き合ってやるよ」
「す、好きなだけ? どうしちゃったの? 今日は随分優しくない?」
「気のせいだろ」
宵は屈みこみ、病室の隅の小さな棚の中からトランプを取り出した。
「何する?」
「じゃあねー、『ババ抜き』」
「はいよ」
宵がトランプを切る。志穂はその姿を残りのプリンを食べ終えながら嬉々として眺めていた。
切り終わりトランプを配っていると、志穂が思いついたように顔をあげた。
「宵は、好きなコとかいないの?」
「は?」
唐突すぎる質問に、宵が手の動きを止める。
「彼女とかいないの?」
志穂の瞳は、恋バナに夢中な女子高生のようにキラキラしている。
「……恋ねー。別にしてねーな。彼女もいないし」
誰かを好きになった記憶が、宵にはなかった。
肌を重ねたことは何度もあったが、それは純粋に金のため。その人物自身に興味や特別な感情を抱いたことはなかった。
「恋ってどんなもの?」
宵がカード配りを再開しながら聞くと、志穂は少しはにかむように笑って言った。
「その人のことをいっぱい考えたら恋よ」
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