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Complex
第1章 回顧
最後の日報を送ると、友香はパソコンの電源を切った。
明日からは有給のため、この店舗での最後の仕事だ。
最後にみんなで食事でも、との言葉を断り最後の締めのために一人でデスクに向かっていた。
数年、一度も消化できなかった有給は40日。
毎年消化されないまま買い取ってもらっていたものの、友香が有給を取らないと他の者が気まずいだろうと愚痴をこぼされた。
だったら、一ヶ月まるっと休みにしてしまおう。
その決心に地区部長はまたしても愚痴をこぼしていたっけ。
友香にとってはちょうどいいタイミングだった。
来月半ばから新店舗への異動を打診され、それに合わせて部下たちには引き継ぎも滞りなく行ってきた。
懇意にしていただいたお客様への挨拶も済ませ、友香の出る幕はもうない。
有給を取ると決めてからは少し急いではしまったものの、友香が抜けても大丈夫なように全員育っているはずだ。
誰もいない事務所。
新卒で入社してから12年。
一から不動産の知識を叩き込まれ、接客の基礎を仕込まれ、社会人としてのすべてを学んだ。
この数年はがむしゃらに働きすぎた。
ゆっくりお休みをもらおう。
友香は鞄を手に取ると、部屋の電気を消した。
明日からは有給のため、この店舗での最後の仕事だ。
最後にみんなで食事でも、との言葉を断り最後の締めのために一人でデスクに向かっていた。
数年、一度も消化できなかった有給は40日。
毎年消化されないまま買い取ってもらっていたものの、友香が有給を取らないと他の者が気まずいだろうと愚痴をこぼされた。
だったら、一ヶ月まるっと休みにしてしまおう。
その決心に地区部長はまたしても愚痴をこぼしていたっけ。
友香にとってはちょうどいいタイミングだった。
来月半ばから新店舗への異動を打診され、それに合わせて部下たちには引き継ぎも滞りなく行ってきた。
懇意にしていただいたお客様への挨拶も済ませ、友香の出る幕はもうない。
有給を取ると決めてからは少し急いではしまったものの、友香が抜けても大丈夫なように全員育っているはずだ。
誰もいない事務所。
新卒で入社してから12年。
一から不動産の知識を叩き込まれ、接客の基礎を仕込まれ、社会人としてのすべてを学んだ。
この数年はがむしゃらに働きすぎた。
ゆっくりお休みをもらおう。
友香は鞄を手に取ると、部屋の電気を消した。