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ガラスの靴がはけなくても
第5章 赤のしるし
もう、無理……!
どうしてこうなっちゃうの!?
「離して下さいっ」
「なら言えよ。言わないなら離さない」
「そ、それは……」
って、言えるわけないじゃない!
口ごもるしかない私は完全に不利。
勿論、力で敵うはずなんてないんだし。
いや、なんなら彼といて私が優位に立ったことなんて一度もない。
「言わないってことは離して欲しくねぇってこと?」
耳元で意地悪く囁かれてやっぱりこの人は苦手だって思った。
「藤野気付いてないだろ?」
「っ…んっ!」
「ココに俺が印付けたって」
髪をかき分け、うなじの一ヶ所を指先でなぞられる。
"しるし"……?
指先でなぞっていた部分に唇を押しあてられて、絶叫しそうになる口に手を当てた。