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ガラスの靴がはけなくても
第6章 年下の男の子
ーーー忙しいはずなのに、こういう時に限って区切りがついちゃうのはなんでだろう。
定時には終わらなかったけど時刻はまだ六時過ぎ。
携帯を確認したけど連絡は入ってなくて。
もしかしたら、まだ澤村くんの方が仕事終わってないのかななんて思ってみたけど。
両腕を香織さんと亜依ちゃんにホールドされ、連れ出されたロビーにはしっかりと彼の姿があった。
私に気付いて、笑顔を向けて歩いてくる姿に
「やっぱりいいわね。澤村隼人」
「やだ~。いいな~莉乃さん」
同じく笑顔のままでこっそり騒いでる二人。
だけど、腕を捕まえる力は一向に弱まらない。
「みなさんお疲れ様です」
あっという間に目の前に現れた澤村くんに差し出すが如く、背中を軽く押される。
「お疲れ様。さ、私達は帰りましょうか」
「はい。ではお先に失礼しますね~。お疲れ様で~す」