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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風
先日に私と澤村くんが食事に行ったことは様々な解釈で会社の中で広がっていた。
確かに食事に二人で行ったのは事実だけど。
相手が悪かった。そういうのに疎い私ですら澤村くんが人気あることは知っていた。
ただこれほどまでとは。
違う部署の知らない女子社員から無駄に睨まれたり、逆に哀れんだ目で見られたり。
もう勝手に広まってる噂の中味は知りたくない!
考えただけでもゾッとする。
なのに、それに拍車をかけているのは本人だったりするから厄介だ。
「藤野さん。次はいつ付き合ってくれるんですか?こないだはあんなに盛り上がったのに……」
「次もなにもありません。そして、誤解を招く言い回しするのやめてくれませんか?」
暇があれば顔を出してはそんな絡みをして去って行く彼。
だけど、あたしは知ってる。
こうやって言いに来るのは部長がいる時だけだって。