この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風
いつだって変化は突然で、急激で。
それについていけてないのなんかお構い無しで進んでいく。
自分のことでさえ分からないでいるのに、自分以外の人の変化や気持ちなんて私には到底分かる訳もなくて。
風がさらっていく髪を押さえながら、久しぶりに聞いた声の方へと瞳を向ける。
少し伸びた髪だとか、隣にいた女の人だとかやっぱり変化はあるのに。困った時に首を掻く癖は変わってなくてなんだかおかしい。
「久しぶりだな」
「そうだね」
今の私の心情とは似つかわない落ち着いたもので、自分から出た声少しだけ驚いた。
「今の人は莉乃の彼氏?」
久しぶりに会っておいて、別れ話さえ電話で済ませておいてそれ?って思ったけどそんなこともうどうでもよくて。
「違うよ」
早く行かなきゃって、その思いが強くて。
「でも、私の好きな人」