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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風

いつだって変化は突然で、急激で。
それについていけてないのなんかお構い無しで進んでいく。

自分のことでさえ分からないでいるのに、自分以外の人の変化や気持ちなんて私には到底分かる訳もなくて。

風がさらっていく髪を押さえながら、久しぶりに聞いた声の方へと瞳を向ける。


少し伸びた髪だとか、隣にいた女の人だとかやっぱり変化はあるのに。困った時に首を掻く癖は変わってなくてなんだかおかしい。



「久しぶりだな」



「そうだね」



今の私の心情とは似つかわない落ち着いたもので、自分から出た声少しだけ驚いた。




「今の人は莉乃の彼氏?」



久しぶりに会っておいて、別れ話さえ電話で済ませておいてそれ?って思ったけどそんなこともうどうでもよくて。



「違うよ」



早く行かなきゃって、その思いが強くて。



「でも、私の好きな人」





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