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ガラスの靴がはけなくても
第8章 眠りたくない夜


い、いつの間にっ!


「今日はお茶っ葉ぶちまけなかった?」


「……持ってるのはカップなんで落とさなくて良かったです」


「そう。なら良かった」


給湯室でのことを言っているであろう言葉に、その時のことを思い出して顔に熱が集まる。

意識しないって方が無理だよ!

後ろから抱かれ、両手にカップと湯飲みをそれぞれに持って固まる私は間抜けてる。



「それ置いてこっち向いて?」



耳元で囁く声はいつの間にか甘いものになってて。
いつもなら、拒否するところだけど素直に従う。


だけど、熱くなってる顔はなかなか上げられない。


「なに赤くなってんの。ほんと可愛いな藤野は」


「からかわないでくださいって!」


「おっ、顔上げたな。からかってるけど、本当に思ってる」


「っ…!!」



ずるいっ…!!
なにこのいつも以上の甘い声と甘い笑顔!!!



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