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ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜

今まで落ち込んでた時や、辛い時は一人でいたいって思ってた。
汚い私や弱い私を人には見せたくないって思ってたから。


だけど、今は一人じゃなくて良かったって思う。

それは相手が部長だからなのかもしれないけど。



辛い気持ちや悲しい気持ちは変わらないけど、側に誰かが……部長がいてくれて気持ちが楽になった。




「もう近くか?」



「あ、はい。そこの角のところでいいです」



時計を確認すると時間は既に11時を過ぎていた。
熱いお湯でシャワーを浴びて、ビールの一本でも飲めばゆっくり休めるかな。


今日は何も考えずに眠りたい。



「今日は本当にご迷惑をおかけしてすみませんでした」



「藤野は謝ってばかりだな。謝罪はいい。勤務時間外だからな」



「え…?」




何も考えずに眠りたいのに――…



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