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ガラスの靴がはけなくても
第2章 キスの温度


火照る頬を手で押さえる。

「熱い…」

心臓の鼓動が早くなって体温も少し上がってる気がする。


私は欲求不満なのかもしれない。
人肌恋しくてどうしようもないのかもしれない。

心ではなく身体が求めている様に感じるのは、拒否を出来ない自分に対するせめてもの言い訳なのか。

だって、三年付き合った人よりたった数回キスした人で今は頭の中がいっぱいになってるから。


同じ職場なのに、これからどんな顔をしていればいいだろう。
今までと同じ様に、なにもなかったかの様に出来る自信がない。

彼と付き合っていた時の様に偽ればいいのに、既にさらけ出してしまった部長にはそれが通用する訳がないと思う。

それに何故だか部長の前では余裕がなくて自分を偽れない。
本来とは違う自分を作ることが得意だったはずなのに。
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