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ガラスの靴がはけなくても
第3章 理性と本能

『藤野莉乃を慰める会』と称された飲み会。

私の隣には慰めとも冷やかしとも取れる言葉をかけに代わる代わる人が来る。

しばらくの間毎日の様に失恋を祭り上げれ、からかわれていた私はここでもかとげっそりした。
それでも楽しく飲めるのはやっぱりみんな大人で、触れていいことと触れてはいけないことの区別をちゃんと分かっているからだと思う。


「藤野さん追加いいですか?ジョッキ空ですよ」


「あっ、じゃあ生で」


「すみませーん!生二つ!」


「ありがとう」


「どういたしまして」



にこりと爽やかに笑みを浮かべるのは、一つ下の営業部の澤村君。

うん。
お酒で赤くなった顔ですら爽やかだからすごい。

新しい冷えたジョッキを二つ手に持ち、よいしょと空いていた私の右側に腰を下ろす。


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