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第5章 優香のペース

翌日、

彼女の二つ離れた席には、
男が座っていた。

男は、今にも彼女に声をかけそうな雰囲気で、
チラチラと彼女を見ていた。

歳は俺より少し上だろう。
雰囲気のあるガタイのしっかりした男だった。



彼女の本は、もう終わりにさしかかっていた。


しばらくすると、
彼女は、カウンターに本を置き、余韻を楽しむかのように、
目を閉じた。



。。。っと、隣の男が動いた。

言葉なく、彼女の手を取る。


彼女も抵抗する素振りを見せない。


俺は、あわてた。


今夜しかない。

この日のために、
俺は3日も通ったのだ。




俺は、男の腕を取った。


「悪いな。俺が先約だ。」


男は驚いて彼女の顔を見る。

彼女も驚いて俺の顔を見た。




優華は、ふっと笑うと、

「そうだったわ。

約束があったんだったわ。

ごめんなさいね。晃さん。

また今度。。。」


知り合いだったのか。。。？



晃と呼ばれるその男は、

少し驚いてはいたが、

声を荒げるでもなく。

その手を離し、
彼女の頭をポンポンっと軽くたたいた。


「そっか、またおいで。姫。」