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月 ~優香~
第6章 覚悟 ~優香~
限界だった。
やっぱり、晃の笑顔を、私だけのものにしたかった。
私は本を閉じた。
晃は、その動きを感じると、エスコートするように、私の手を取った。
っと、隣から声がした。
「悪いな。俺が先約だ。」
直也だった。
私は、晃のちょっと安心した横顔を見逃さなかった。
やっぱり解放してあげる時が来たんだ。
「そうだったわ。約束があったんだったわ。
ごめんなさいね。晃さん。また今度。。。」
晃は、あっさり引き下がった。
涙が出そうだった。
私は、ホッとした晃の顔を、見たくなかった。
そして、今にも泣きそうな、自分の顔も見せたくなかった。
私は、直也の腕を取ると、足早に店を出て、タクシーを拾った。
今日でお別れだ。
私も晃も、新しいスタートを切る。
私は覚悟を決めた。