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月 ~優香~
第15章 記憶
ホテルについても、美穂は、泣き続けていた。
俺は、ガンガンと鳴り響く頭と、痛い腰を支え、
「うるさい!」
叫びたくなる心を、押しとどめていた。
美穂から、男たちの鼻につくにおいが漂っていた。
美穂に対する愛情も、男のプライドも、何もかもなくなってしまったようだった。
何も感じなかった。
俺にあるのは、ただ、美穂を連れて帰る責任感だけだった。
人形を扱うかのように、美穂を風呂に入れ、身なりを整えた。
どうやって家に連れて帰ったかも、覚えていない。