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写性 …SHASEI…
第10章 曼珠沙華
お母様の花が咲いた。

お父様がいう通り、突然忘れた頃にそれは咲いた。

花火のような赤い華、それはとても綺麗で寂しそうな花だった。

まだ最初の1つだけ、ぽつりととても寂しそうだった。

お父様と一緒に見に来る。手を合わせたり、何かお祈りするのか、お母様を覚えるってどうするのかを聞いたけど、

お父様はお母様のことでいっぱいなのか、聞こえていないようだった。


悲しいそうな顔で花を見つめたままのお父様。

お母様のことを思って、その顔をして、私の声にも気づかない。

私を見て、悲しい顔をさせるのは私。
お父様を大きな声で呼ぶ。

はっとして私を見たけど、まだぼぉっとしている。
変なお父様…

私だけを見て欲しい。
おうちに入るように言う。お母様の代わりでもいいから、お父様に愛されたい。
私はそう言った。


いつもなら、沙絵が好きだよ。と言い直してくれるけど、花を見てからのお父様は変なままだった。

ふわふわとして寝室にいく。そのままお母様の名前を呼んで私を相手にした。


私はお父様にされるがままに任せた。お母様を見ているお父様に何をされても同じだったから。

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