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写性 …SHASEI…
第25章 誕生の時
ああ、あの女…帰ったのね。

お父様を愛してると言いながら、見捨てて屋敷を出ていった。

人生に必要なのは性欲だけ。

性欲だけが本当に人間の個性を造り出す欲だわ。


愛?
そんなの服を着ないと人前に出られないのと同じで、

性欲が全てということを隠す為に、着せて繕うための感情に付けた名前じゃない。


ほら、愛だのほざいていて居なくなっちゃったじゃない、あの女…

いずみ…

お父様を愛してるといった女。

お母様の代わりにお父様の心を奪った女…

愛があるというなら、誰か私を愛してみてよ。
お母様、どうして私を置いて死んじゃったの?

いずみさんどうして私も置いていくの?


お母様…おかあさま…

「おかあさまぁぁぁ〜」


アンモニアと生臭い匂いが立ち込める。


ア゛ア゛ア゛ああぁ…さ…さえ…さえ…

「お、お、おとぅさま…ぁあああっ」


欲を開放し人に戻ったお父様の手枷、足枷を解いた。

「沙絵…」

「お父様…お母様、いずみさん…逃げちゃったわ…」

「沙絵…僕がいるから…」

「お父様なんか要らない…どうせ私は皆の邪魔者なんでしょう?」

私は自室に戻り鍵を掛けた。

私の本当の誕生はこの日だったのだ。
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