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写性 …SHASEI…
第26章 覚醒
凄く当たり前のことかもしれない。
沙絵は今まで何も言わなかった。興味がないのか、塀の外には何もないと信じているのか…

いや、僕と二人きりの世界に沙絵が居てくれたんだ。

「どうして、学校に行きたいと思ったの?」

「だって、ずっとここにいたら、お父様以外の人に出会えないじゃない。」

「あはは…そうだね。でも、いつから、塀の外に何もないと思わなくなったの?」

「最初から思ってなかったよ。だって私たち外から来たし、でも、お父様がそういう事にしたいなら、それでいいやって思ってただけ、
これからは普通にしていこうって思ったんでしょう?」

「そうだね。」

「どうして塀の外には何もないと言ったの?」

「僕のワガママだよ。
沙織をお祖父様の思うままにさせて、僕は何も出来ず死なせてしまった。

沙絵は失いたくない。
だから、ここに閉じ込めて、いつも側にいて僕が守ろうと考えた。

そこから間違えていたんだよね。
本当にすまないことをした。」

「お父様、泣かないで…

もう少し一緒に休もう?
まだ疲れてるんだよ。」


僕は涙してしまった。
最初から間違えていたんだ。沙絵の自由を奪って、自分だけの世界に閉じ込めて満足していたなんて…
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