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第39章 桜

ｶﾘｯ…

んぁっ…

僕の胸をまさぐる沙絵の手が、敏感な尖りを掻いた。思わず声が出て恥ずかしくなる。

沙絵は、小さいころから体を寄せてきたとはいえ、初めてなのだ。

懸命に僕を誘うけど不安なはずだ。
しっかりしなきゃ、沙絵を苦しめる。

｢沙絵…沙絵を愛するよ。｣

横向きに抱き合う沙絵を倒して僕は沙絵に覆い被さった。

薄暗い中で、やはり沙織に良く似ていると感じる。でも、ここで沙織として抱いたら駄目だ。

沙絵が日本を離れる前に抱いて欲しいということは、自己確認なのだ。
その存在を紛らわしてはいけない。

｢沙絵、愛している。｣

僕から口づけし、唇を割り開き、沙絵の口内に入る。
沙絵は甘い息を吐きながら僕の舌に返すように絡めてきた。

沙絵の言う通り、あの日で止まった時間が流れ出す。避けて解決しなかった時間は消え、体が互いを忘れていなかったと知らしめる。

僕は体の記憶のままに沙絵を愛撫した。

腰から脇のラインをなぞり上げ、乳房に手を回す。
平らだった胸が、重力に負けず弾力と柔らかさを湛え手のひらを押し返す。

瑞々しい肌はしっとりと絡み付くようだった。

その感触を手で味わうように揉んでいった。