この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
面影
第4章 秘密
『… んっ。』
『…やっとお目覚めか。』
目が覚めると、乱れていた私の服は
綺麗に直され、肩までしっかりと
布団がかけられていた。
『聡…太……?』
聡太が、隣で私の髪を優しく
撫でてくれていた。
ずっと、私が目を覚ますまで
こうしてくれていたのだろうか。
『お前のせいで、萎えた。』
『きゃっ!』
優しく撫でてくれたと思ったら、
いきなり髪の毛を
グシャグシャにされ、
あっという間に聡太の腕の中に
すっぽりと収められる。
『…魘されてた。』
消え入りそうな小さな声で、
聡太が私を強く抱き締めながら
言葉を続ける。
『…ずっと苦しそうな顔して、
…ナツメって、笹原を呼んでた。』
『……!!!』
『なぁ、麗。いつか…いつか、
笹原とのコト。ちゃんと話して。
俺、麗が話せる様になるまで
いつまでも待つから。』
顔を見なくても分かる。
聡太の表情が。不安が。
今、聡太の顔を見たら泣いてしまう。
『…ごめ…ん。聡太…。』
『…もういい。さっさと寝ろ。』
ギュっと、聡太に抱きついて
聡太の温もりを感じながら
ゆっくり目を閉じる。
全部話したい。
聡太に聞いてもらいたい。
でも、まだ、
その時じゃない気がするの。
私も、棗も、聡太も。
全部に、
全部に終わりが来たら、
ちゃんと話したいの。
その終わりが、
どんな形だったとしても。
ねぇ、
茉莉花(マリカ)ちゃん。
茉莉花ちゃんは、
棗と私の未来がこうなる事を
望んでいたの?
茉莉花ちゃんは、
何が欲しかったの?