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面影
第7章 時計




ー 麗。


ほんとにわがままなのは、
痛いほど解ってるんだ。
麗にいつ愛想尽かされたって
仕方ないって。



それでも、俺はあの人を
”母さん”を突き放したりできない。




母さんが、俺自身ではなく
父さんを重ねて見ていたとしても
俺だって、
母さんに茉莉花を重ねて
見てしまうのだから。



そこに愛がなくても、
誰かの身代わりであろうと、
あの時みたいに、
突き放されるよりかは
よっぽどマシなんだ。




ポッカリ空いてしまった、
茉莉花の穴はあまりに大きすぎて
自分ではどうにもできなくて。



『麗…俺を…』



麗をきつく抱きしめる。
情けない自分から出そうになった
言葉をぐっと飲み込む。
なんて、惨めなんだろう。

麗をぎゅっと抱きしめていると
麗の体温になんだかホッとして
急に瞼が重くなる。
瞼が完全に落ちる寸前、
あの頃の麗を見た気がした。





〝…棗寝れないの?〟

〝…うん。なんかさ、
夜が怖いんだ。目を開けたら、
誰もいなくなってそうで。
俺キモいだろー。ハハッ〟

〝…棗が夜が怖くなくなるまで
麗が一緒にいてあげるよ。
今日も明日もずっと。〟

〝…俺はちっちゃい子かよ。〟

〝…棗は強がりだから。
寝てるときにしか泣かないから。
泣いた方がスッキリするのに。

棗?泣いてもいいんだよ。
麗がずっとずっと棗のこと
隠してあげる。

棗を一人ぼっちになんか
させないよ。〟

〝…麗、それ本気?〟

〝…うん。約束するよ、棗。〟










『…んん…棗…
約束する…よ…。』



チクタクチクタク。
時がながれても、
俺たちの時計は止まったまま。
だれの想いも届かぬまま。








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