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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
※ ※
次の日の教室――。
「これなの……」
私は前日に探した、二冊の本を乾くんに渡す。
「あ、うん。へえ……上下巻なんだ。結構、分厚いんだね」
「変なこと頼んで、ごめんなさい。急がなくても、いいから……」
「気にしないで。たぶん、来週までには読めると思う。それで……この本を読んで、僕はどうすればいいのかな?」
「感想を聞かせて……それだけ」
「わかった。だけど……藍山さんもこの本、もう読んでるんだよね?」
「……」
「あ、いいんだ。とにかく、読んでみるよ」
「うん。ありがとう」
生前の楓姉さんが、その本に何らかの想いを込めていたものかは、それは不明。
そしてその本を、乾くんに託してしまったことが、正しいのか否か……。
ともかく私は、彼に頼ってみたいと思った。
そしてその結果として、事態は予想以上の進展を見せることになる。けれど、それを語るのは私ではなかった……。
【せッきン――了】