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第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】

　僕は顔を上げて、赤緒さんを見据える。

「僕は瀬山くんのこと……絶対に誰にも……言ったりしないよ！」

「ホントに？」

「ああ、絶対！　もし裏切ったのなら、その時は死んだっていい」

　そうだ。君の為なら、なんだって……できる。

　そんな覚悟を宿していた僕なのに、それでも赤緒さんとの間にはまだ大きな隔たりがあった。彼女は僕の言葉を受けて、この様に話している。

「わかったわ。信じてあげる。そして時期が来るまで、貴方が秘密を守ってくれたのなら――その時は、私を自由にすればいい」

「え……それは、一体どういう……意味、なの？」

「別に……言葉のまま。どうとでも、好きに受け取ればいいでしょ」

　そう言った彼女を見て、僕は思わずゴクリと喉を鳴らした。だけど――

　いや……違う。

　僕は雑念を払うように首を振ると、彼女との隔たりを埋めようと言葉を絞り出そうとする。

「赤緒さん！　僕は――」

　しかし――

「もうすぐ、瀬山が来るわ。貴方といる処を、見られたくないの」

「あ……」

「だから、お願い。悪いけど、消えてくれる」

　その言葉以上に、赤尾さんの表情は何処までも、冷ややかなものだった。