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真実アイロニー【完結】
第9章 一人の人間として。
何で、俺もこんな事言ってしまったんだろう。
まだ二ヶ月そこらしか、一緒にいないのに。
会話したのだって、最初の少しだけなのに。
でも、何故か言葉にしてしまいたかったんだ。
小早川を好きだって。
ちゃんと、言葉に。
「……」
まだ、言葉を失っている小早川。
「小早川が琥珀君だけを想ってるのは知ってる。どうにかなりたいわけじゃない。
だけど、こういう気持ちのヤツもいるって事を知っておいて。
だから、さ。もう切らないで」
小早川の頭に手を置くと、ぽんぽんとした。
視線を伏せる小早川。
強張った顔が緩む事はない。
「切りたくなったら、俺を頼って」
そう、呟く。
「な?」
微かに微笑むけど、小早川は俯いたまま無反応だ。
だけど、本当に少しだけだったけど。
コクンと、頷いた。