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真実アイロニー【完結】
第9章 一人の人間として。
それから、放課後になり。
どうやらあの後、ちゃんと小早川は教室に戻ったらしい。
HR中、一度ちらっと小早川を盗み見る。
彼女はやっぱり外を眺めていた。
HRが終わると、各々動き出す。
俺も職員室へと向かった。
職員室に入ると、先生方に挨拶をして自分の席につく。
別にどうにかなりたいって思ってるわけじゃない。
だから、小早川とはこれからも普通に接するつもりだ。
頼られたら助ける。
それだけ。
だけど、勝手に足がそこに向かってしまうのは何故だろう。
気分転換にと向かうのは、やっぱり桜の木の下。
そして、やっぱり君はそこにいた。
桜の木の下に座って、本を読んでいる。
俺に気付いた小早川が顔を上げた。
無表情で、薄い茶色い瞳が俺を視界に映した。
「やっぱいた」
そう、声をかけながら俺は隣に腰を下ろす。