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真実アイロニー【完結】
第10章 衝動的。
ナビで駅に近い公園を探すと、そこの近くに車を停めて小早川を見付ける為に公園へと急ぐ。
街灯が疎らにあって、静かな公園は少しだけ不気味だ。
こんな真っ暗な中に小早川がいるのか?
切ったとか、それ以外にも危険な気がする。
急いで見付けないと。
園内を必死に走り回って、やっと俺はベンチに蹲る小早川を見付けた。
肩で息をしながらも、小早川が無事でいた事にとりあえず安堵の息を漏らす。
急いで小早川の元へと近寄る。
「小早川」
後ろからそう声をかけると、びくりと小早川の体が揺れた。
それから、ゆっくりと振り向く。
小早川の綺麗な黒髪は月明りに照らされて、天使の輪っかを作っては揺れている。
薄い茶色い瞳が俺を捉えた。
切った手首を隠す様に、反対の手で覆っている。
だけど、微かに見える赤い血液。
胸がぎゅうっと苦しくなる。
それほど深く切ってしまうって、一体何があったんだよ。