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真実アイロニー【完結】
第12章 離れても。
どうしたって、結局小早川の中では琥珀君が一番なんだ。
でも、そんな小早川だから俺は惹かれたんだ。
「大丈夫、どんな時でも小早川には俺がついてる」
「……先生も、離れたらきっと私の事なんて日々に埋もれて忘れるよ」
「そんな事はないよ」
「いいんです、それで。……寧ろ、そうであって欲しいんです」
「……」
「来月の14日に決まりましたんで、よろしくお願いします。
それじゃあ、失礼します」
静かに小早川は椅子から立ち上がる。
それから、ゆっくりと頭を下げた彼女は、俺の顔を一度も見る事なく部屋から出て行った。
その後ろ姿に声をかける事は出来なかった。
小早川の様子がどうしても気がかりだった。
だけど、彼女自身がどこか俺を拒んでいる様にも思える。
最初の時みたいな拒絶ではないけど、どこか遠ざけている様なそんな感覚。
転校するからなのかはわからない。