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真実アイロニー【完結】
第12章 離れても。
その日以降も、やはり小早川は俺をさり気なく避けていた。
あの場所にも一切来ない。
それは引っ越し準備が忙しいからってだけではない気がする。
そういえば、伯母と言ってた人が学校に来た事なかったな。
全て小早川が動いてるみたいだし。
そんな事を考えながら、俺は職員室へと向かっていた。
俺が到着したと同時に、職員室から誰かが出て来る。
見た事のない中年の女性。
誰かの保護者だろうか。
扉の前に立って、深々とお辞儀をしている。
その相手は教頭先生だ。
女性が俺に気付くと、にっこり笑ってぺこっと頭を下げた。
「こんにちは」
そう挨拶をしながら俺も頭を下げる。
俺の横をすり抜けた彼女の後ろ姿を少しだけ眺めた。
「小早川さんの保護者代わりの、堂島さんだよ」
「え?」
俺の隣に立ち、教頭先生がぼそっとそう教えてくれた。