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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
「絵美香に男取られたって子、結構多いから嫌われてるんだよね」
「はあ」
「だから、先生も気を付けて下さいね」
そう言うと、ニコっと笑って工藤さんはひらひらと手を振ると自分の席へと戻って行った。
俺は頭をぽりぽりと掻く。
なんていうか、強烈だな。このクラスのキャラは。
小島さんがそういう子、だとしても俺は構わないし。
何かなんて絶対にないのだから。
工藤さんも俺を心配してくれた、というよりは小島さんが気に食わないだけに見える。
女の子も色々大変だよな、なんてどこか他人事のようにぽつりと思った。
それから、授業開始のチャイムが鳴って教壇に立つ。
「それじゃあ、教科書の126P開いて」
そう言いながら、ちらっと小早川さんを盗み見る。
教科書を開く様子もなく、相変わらず頬杖をついて外を見つめていた。
開いてる窓から入り込む風が、彼女の前髪をそっと揺らす。
サラサラ揺れる髪の毛が気持ちいいのか、静かに目を閉じた彼女。
きっと、カメラマンならこの瞬間を写真に収めるだろう。
それほど、彼女の姿は絵になっていた。