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真実アイロニー【完結】
第4章 見つめるその先に。
「俺、壊滅的に絵が下手なんだよなあ」
もちろん、小早川さんが返事をする事はない。
だけど、構わずに続けた。
「小早川さんを頑張って描くけど、似てなかったらごめんね」
「……」
「犬を描いたら、鳥だろって言われた事あって」
「……」
会話のラリーなんて一切出来てないのに、一人で俺はベラベラと話し続けていた。
無表情のまま、ただそれを黙って聞く小早川さん。
「ウサギ描いたのに、爬虫類だろって言われた時は流石に凹んだかな」
「……」
「って、俺の絵が下手自慢はいっか」
あははって笑いながら、俺は集中しなきゃと画用紙に視線を落とした。
虚しい程に独り言だったな。
いや、最初から反応してくれるなんて思ってなかったけど。
いいんだけど。
少しだけ溜め息をつくと、自分の壊滅的な絵を見て更に落ち込んだ。