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君へ贈る愛の唄
第12章 守るべきもの

「あんりさんは只今お待ちの方が多数見えていまして、しばらくお時間頂くかと…」

オレはそれには答えず、さっさと店内へ入って行った。


「あのっ、ちょっとお客様!?」

♪〜♪〜

店の中は薄暗く、ユーロビートの軽快な曲がかかっていた。


どこだ?


どこにいる、母さん。


広い店内を見回していると、

「早かったな」

良太がオレを見つけ、かけ寄ってきた。

「ああ」

「お母さんは、あの奥のテーブル席にいる」

「そうか」

オレは良太の指差す方へ早足で進んだ。
母さんのもとへ。

そこに…

「っ…!」

客の男に相づちをうちながら、美しく微笑んでいる母さんがいた。


一緒に暮らしていた時とは、髪の色も化粧も違っていたが

ドレスの胸元には、見覚えある

ハートのネックレスが光っていた。

「母さんっ!」

オレは呼んだ。

母さんが、こっちを見た。
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