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戦国×ハロウィン
第2章 三本の矢ver.ハロウィン
『家族大好き! 毛利元就!』
三矢の教えといった逸話から、毛利元就の息子は三人と思われがちだが、実際元就の子は九人である。だが、お家騒動を防ぐためか正室と側室の子はしっかりと区別していた。
「隆景、ワシはやはり隆元の代わりは誰にも務まらないと分かったぞ。隆元は桜のように良き将だった、だが桜であるがゆえに、散るのも早かったのだ」
「父上……」
「たとえるなら、元春は梅で隆景は柳かな。ワシの息子は皆優秀で美しく、誇らしいぞ」
「私達も、一代でここまで毛利を繁栄させた父上を尊敬しております。さあ、苦労はしましたが、ハロウィンの準備は整いました。家族皆で楽しみ、隆元兄様を弔いましょう」
「ああ……そうだな。よし、皆! お餅を配るぞ、集まれ!」
「父上ー!」
「父上ー!」
「いつもありがとうございます!」
「父上大好きです!」
「また、お話を聞かせてください!」
「これからもよろしくお願いします!」
「……」
「父上、急に黙ってしまって、どうしたのです? もしや感動のあまり泣いてしまわれたのでは」
「あ、ああ……いや、こうもたくさん子どもがいるとな。なんというか、虫けらみたいだなと」
「!!」
毛利元就は、仁徳があり皆を纏める力のある隆元を最も優れた花である桜、苦難を切り開く武を持つ元春を寒さに負けず咲く梅、柔よく剛を制する隆景をしなやかで折れない柳に例えている。
一方で側室の子ども達は書状で「虫けらのような子」などと書き記していたりする。だが、御年70で九男・秀包をこさえたのも、もちろん元就である。