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戦国×ハロウィン
第1章 ハロウィン本能寺
『秀吉さん、ビビる』
黒田官兵衛とは、秀吉の軍師として数々の戦にて手柄を挙げた天才である。だが信長の死後、動転する秀吉に『御運が向かれましたな』と発言した事から、脅威だと見なされるようになる。
「で、官兵衛。結局ハロウィンは何をすればいいんだ?」
「皆で集めた菓子でも食べながら、慰霊すればよいのです。ちょうど信長公も亡くなられた事ですし、祭りを始めましょう」
(ちょうど亡くなるだなんて、なんて言い草じゃい! 黒田官兵衛……奴は危険だ!)
「おや、何やらかがり火の中から影がゆらゆらと……」
「あれは……信長様!?」
「ふはははは、その通り! 死者の魂が行き来出来るこの時に、大人しく成仏している我ではないわぁ!」
「さすがは信長公、死んでもなお魔女の扮装とは」
「官兵衛よ! お前が祭りの音頭を取った事で、我はここへ戻れたのだ。よって、褒美を取らす!」
「これは……刀? しかもハロウィン仕様で血塗れに装飾しているとは、なんと粋な」
「ん、違うぞ? それはさっき死者の国で、菓子を盗み食いしていた茶坊主を斬った時についた血だ」
「それは、なんと苛烈な」
「奴め、卑怯にも棚の下に隠れおったから、隙間から圧し斬ってくれたわ! という訳で、この刀を今日から『圧し切り長谷部』と呼ぶがいい!」
「……有り難き幸せ。信長公の形見として、生涯大事にいたしましょう」
(信長様も、官兵衛も、なんでそんな話しながら平気で笑えるんじゃい! 怖いわー!)
当然だが、官兵衛が圧し切り長谷部をもらったのは信長存命中である。余談だが、長谷部というのは斬られた茶坊主の名前ではなく、刀を打った鍛冶職人の名前。茶坊主が何をして信長を怒らせたのかは、正式な記録には残っていないとか。