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呟きたい
第12章 ホストについて③
「類沢さん類沢さん」
「ナニ、瑞希さん」
「よく世界の地理勘がわからなくなるんですけど……篠田チーフの家と、類沢さんの家と、シエラの位置関係どうなってるんですか」
「とりあえず、僕の家はシエラの裏にあるんだよ。歩いて三分くらい」
「初めて仕事行ったとき本当に近すぎで驚きましたよ」
「ふっ……なんでそんなに近いかっていうとね、元は篠田の家だったんだよ」
「えっ」
「僕に会う前にシエラと一緒に家を建てたんだ。でも、僕がNO.1になった月に譲ってくれてね……まあ、それまで同居っていうか居候してたから、篠田が出ていったって感じかな」
「それって……」
「今の瑞希みたいだよね」
「類沢さんは寂しくなかったんですか」
「どうだろ。上司っていうより、春哉……篠田は恩人だったからね。卒業っていうの、そういう気分だったなぁ。これで僕も一人立ちしたんだって」
「何年前の話ですか」
「……さあ」
「えー」
「ホストになってからは四年だけど、篠田とはそれ以前から付き合いが長かったからね。何年っていわれると曖昧なんだ」
「へえ……」
「篠田の今の家は車で二十分くらいかな。そのうち瑞希も行くんじゃない」
「ナニしにですか」
「ナニしになんじゃない?」
「冗談……っ」
「篠田は滅多に人を呼ばないからね、多分瑞希がNO.に入ったら……あるかも」
「類沢さんは行くんですか」
「月に一回くらい?」
「謎ですね~……」
「あの人の家は凄いよ」
「類沢さんの家以上にですか」
「僕の家も元は篠田の家だからね」
「あっ、そっか」
「勝てるのは……ワインの数くらいかな」
「相当ありますもんね」
「瑞希はコレクションっていうか、ないの?」
「俺ですか……うー、なんだろ。瑠衣のCDは全部持ってますよ」
「シングル52枚?」
「あとアルバム8枚にライヴDVDも」
「ファンなんだ」
「ファンですね」
「語ると長引きそうだから次のメモに行こうか」
「えぇ~! もうすこし語らせてくださいよ」