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私は犬
第3章 【第1章】帰国
久しぶりに来た日本の景色は、記憶の中と全く同じではなくて、車窓から外を眺めながらちょっぴり戸惑ってしまう


来たという表現は適切ではないかもしれない。私は今日からこの国で暮らすのだから。


頑張らなくてはならない。そう考えてハッとする。だって何を頑張ればいいのか、さっぱり分からないんだもの。



「……でね、どうかしら?真子(まこ)ちゃん」と、公子(たかこ)おば様の声で語りかけてくる日本語に我にかえった。


日本語は集中しないと聞き逃してしまう。


どうやら、考え事に気をとられ、おば様の話をきちんと聞いてなかったみたい…。しっかりしなくっちゃ。


「はい。おば様にお任せいたします」と無難な言葉を選んで返すと


「あら!でも、今日は帰国のお祝いなのよ。真子ちゃんの好きなものにしましょうよ。ね?やっぱり和食かしら?」


と返ってきたので、聞き逃した話はお夕食の相談だったらしいと悟った。

うーん。どうしよう…。何でもいいのだけれど、そのまま告げてはおば様をがっかりさせてしまう気がする。こういう時、何と言うべきなのかしら?


一生懸命考えて、「では、お鮨を頂きたいわ。あちらでは美味しいお魚が無かったもの」

と告げてみる。すると、おば様は目を輝かせながら両手を打ち、「そうね!それがいいわ!」と仰った
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